「ためになる歯の話」 No31 No32  No33  No34  No35  No36  No37  No38  No39  No40    No1 - 10 No11 -> No20  No21 - 30 No31 - 40 No41 - 50

1 第31話「キシリトール 虫歯予防も過信禁物」
2 第32話「かむ健康法 ゆっくり食べて減量」
3 第33話「入れ歯の保管・紛失防止に専用器」
4 第34話「知覚過敏 横磨きや歯周病一因」
5 第35話「要観察はCO 早めの処置で虫歯予防」

6 第36話「神経を抜く 密封しないと深刻に」
7 第37話「歯並び 矯正に年齢制限なし」
8 第38話「歯を残す ぎんさんには前歯5本」
9 第39話「乳児の虫歯 抜く時期が歯並びに影響」
10 第40話「肩こり 歯の状態が原因の場合も」

 第31話「キシリトール 虫歯予防も過信禁物」 

 最近、どこの店でも見掛けるようになったのがキシリトールガムです。かんだ瞬間のあの冷たい、さわやかな感覚はもう皆さんもご存じだろうと思います。まして売り場に「キシリトールで虫歯予防」という言葉があれば、ついつい買ってしまう方も多いでしょう。  しかし、このキシリトールガムもかんでさえいれば、虫歯にならないと信じ込むのは問題です。もちろん虫歯予防の効果は望めます。キシリトールを取り続けることで、虫歯の原因となる歯こう(プラーク)の形成が50%抑えられたというデータもあります。  しかし、キシリトール予防が現在の日本の実情に合うかどうかは疑問として残ります。ほとんどの甘味食品には歯こう発生や酸発酸性のある砂糖などがまだ多く使われています。虫歯発生を抑えるキシリトール百パーセントだけの生活は不可能なことです。  しかも、キシリトール発祥のフィンランドでは、国を挙げてフッ素の応用などの虫歯予防対策を併用しているから大きな成果が得られたのです。それらがまだ遅れている日本では、ただキシリトールだけを注目しても十分によい成果は望めません。  また、甘味食品だけに偏った生活は、歯ばかりか全身の健康にも悪影響を与えます。子供を甘い物好きに育てないこと、食べたらすぐ磨く習慣をつけること、キシリトールやフッ素などを併用すること、定期的な歯科健診を受けること、これらが現在の日本の実情に合った虫歯予防対策です。「食べたらすぐ磨く」を合言葉に、歯ブラシの携行を忘れないこと、これが何よりも勝ります。  ところで、キシリトールとはシラカバ、ヤシ殻、カシなどから作られる天然の甘味料です。キシリトールガムの虫歯予防は、キシリトールそのものの効果とガムをかむことによる効果の相乗作用によるものです。かむことによりだ液の分泌が盛んになり、歯を溶かす酸が早く中和されます。  キシリトールは歯にいいのですが、よくかむこと、よく歯磨きすることは、もっといいのです。 (県歯科医師会) (県歯科医師会)



第32話「かむ健康法 ゆっくり食べて減量」  上へ

 「よくかんで食べなさい」。この言葉は親から子へ代々、受け継がれてきた言葉です。だれでも子供のころ、言われた記憶があると思います。きっと健康に良いからだとは分かっていても、あまり気にもとめずにいたはずです。ところが百年も前に、よくかんでやせる方法を発見した人がいます。その人は、当時四十歳のフレッチャーという名前の金持ちのアメリカ人です。趣味は「グルメ」というほど食べることが大好きだったフレッチャーさんは、コックを五人も雇い、世界の料理をよくかまずにパクパク食べるという暮らしをしていました。  ところがある日のこと。なぜかとてもだるく、動くことさえおっくうになっていたフレッチャーさんは、鏡に映った自分の姿を見てびっくり。青白くブヨブヨの100キロ以上はあろうかという巨漢が目の前にいたからでした。それからは気がふさぐような毎日でした。  ある日気分転換に散歩に出掛け、たまたまある家族の食事風景を目にして突然何かがひらめきました。それはぜいたくではない自然の食べ物を、ゆっくりゆったり、よくかんで、楽しく食べるということでした。実行するにつれて次第に体重は減り、五カ月でなんと30キロやせました。  そして外で運動することにも意欲がわき、自転車競技にも参加してよい成績を収めるほどになりました。  この「かむ健康法」は、大学の栄養学の権威者によっても証明され「フレッチャイズム」と名付けられました。著書も出版したフレッチャーさんは世界的に有名になりました。この「かむ健康」を広めるため、世界中を講演して回り、日本でも講演したそうです。  ところで、おいしく食べるためには、口の中が清潔でなければなりません。  歯科疾患は、生活習慣とのかかわりが大きいのです。塩分を取り過ぎない、洒を飲み過ぎない、たばこを吸わない、きちんと歯を磨くなど、身の回りの簡単なことから健康的なライフスタイルづくりに取り組んでみてはいかがでしょう (県歯科医師会)


第33話「入れ歯の保管紛失防止に専用容器」   上へ

 「新しく入れ歯を作ってもらったが、なくしてしまった。 来週、旅行に行くから、それまでに新しいのを作ってほしい」。 私たちの日々の診療でよくあるケースです。
 保険適用の義歯は、新しく製作すると正当な理由がなければ、原則として六カ月間は作ることができません。 もし、新義歯を作るならば自己負担で、という約束事があります。ですから、義歯は体の一部として大切に扱う必要があります。  だからといって、一日中装着してはいけません。「入れ歯ははずしちゃいけないんじゃないの」と言う方がいますが、それは間違いです。
歯茎を休めるために、就寝前ははずして、湿度100%のもとで保管しなければなりません。 (就寝時に歯ぎしりや、くいしばりで残っている歯に負担がかかり過ぎる場合は、入れ歯は洗ってからそのまま口の中に入れて就寝した方がよいこともあります)  しかし、はずしておいたその時に事故は起きます。
一番多いのは、入れ歯をティッシュペーパーに包んでテーブルに置いていたら、ちょっと目をはなしたすきにごみと間違えて捨てられてしまったというケースです。 旅先でホテルの洗面所に忘れてきた、というのも珍しくありません。
 では、なぜそういうことがよく起こるのでしょう。それは、保管の方法がよくないからです。 入れ歯は人目にさらしたくないという気持ちがあると、何かに包んでおきます。すると先ほどのような事故が起きます。
 入れ歯専用の容器が市販されていますから、それを利用してはいかがでしょう。 半透明の(プラスチックの)食品保存容器なども中身が見えますから、事故は防げるでしょう。  入れ歯の製作はある程度時間を要しますし、新しいのに慣れるまでのことを考えて、余裕をもって受診しましょう。  これから山に登ろうとする人は、決して新しい靴ははかないのですから。
(県歯科医師会)


第34話「知覚過敏 横磨きや歯周病一因」   上へ


 ビールのおいしい季節です。特にふろ上がりの冷えたビールは格別です。 ところが冷たいものを口に入れたとたん、キーンと顔を思わずゆがめるほど、しみることがあります。せっかくの好物もだいなしです。
 このような訴えをする患者さんは、ほとんど顔をゆがめ、痛みを思い出しては恨めしそうに話します。口の中を見せていただくと、 歯の根元がかなりすり減っているのがわかりました。歯を磨くとピリピリするので、このごろはいいかげんにしか歯磨きをしていないということです。
 歯が痛みを感じるのは象牙(ぞうげ)質と神経です。健康なときはエナメル質とセメント質で守られているので大丈夫ですが、守りが一部でも破壊されると、 冷たいものや歯磨き等の刺激で痛みを感じるようになります。ちょうど皮をはがされた皮膚のような状態になるわけです。
 守りを破壊する最大の原因は虫歯ですが、それ以外に長年にわたる歯ブラシの横磨きや、歯周病でセメント質が破壊されて痛みを感じるようになることが多いのです。  知覚過敏の治療は痛みが軽度で一時的なら、正しい方法で歯磨きをしてもらい、痛みを緩和する処置を繰り返しながら様子を見ていきます。
すり減ったところを埋めることもありますが、いずれにしても完治するにはかなりの時間と根気が必要です。 なお、重症になって強い痛みが持続するときには、神経を取る治療をすることもあります。
 横磨きをしないこと、歯周病を防ぐことが知覚過敏の対策です。正しい磨き方を歯科医院で練習していただき、定期的な歯周病の健診が最も効果的です。
痛みの治療だけではなく、このような予防にもぜひ歯科医院を利用していただきたいと願っております。
(県歯科医師会)


第35話「要観察はCO 早めの処置で虫歯予防」  上へ


 小学生の女の子が来院しました。「学校の歯科健診でCO(シー・オー)が二本あると言われたのですが、大丈夫ですか?」とお母さんが心配そうにおっしゃいます。  さて、このCOとは何でしょう。これは、診断項目の中の要観察歯のことで、虫歯になる一歩手前の状態にあり、放置しておくと虫歯に進行する可能性がとても高い歯を示しています。  この女の子が要観察歯と言われた歯は、奥歯の永久歯でした。かみ合わせの面の溝の部分が、健康な部分に比べて白く濁って見え、光沢や透明感がなくなっています。穴はまだあいていません。  要観察歯は、家庭でのケアと歯科医院で手当てを行うことで、虫歯に進行するのを防ぎ止めることができます。
 家庭でまず気を付けていただきたいのは、甘いものをだらだらと食べたり飲んだりさせないこと。寝る前に必ず歯磨きをさせることです。
 歯科医院での予防処置としては、フッ素塗布と、シーラントが挙げられます。
 フッ素塗布とは、歯面を清掃し文字通りフッ素を塗る処置で、歯の質を強める効果があります。シーラントは、虫歯になりやすいかみ合わせの面の溝を削らずに埋める処置で、シーラントをすることにより、虫歯になりやすい口の中の環境を遮断し、虫歯を予防します。
 これらは、早めの処置が効果的ですので、COと診断されたらすぐに手当てを始めましょう。
 特に六歳ごろに生える第一大臼歯、六歳臼歯とも呼ばれ、乳歯の奥に新しく生えてくる大人の歯(永久歯)です。永久歯の中でも、一番大きく、根も一番しっかりしていますし、かむ力も一番なのですが、子供の歯(乳歯)と生え替わるのではないために、出てきたのに気付かず、いつのまにかCOから虫歯になってしまう場合も多いのです。
 六歳の誕生日が近づいてきたら、乳歯の奥をよく見てあげてください。ポツンと見えたら、それが第一大きゅう歯です。「こんにちは」という気分で磨き始めましょうね。
(県歯科医師会)

第36話「神経を抜く 密封しないと深刻に」  上へ


 「この歯は以前、神経を取ったはずなのになんでまた痛くなったんだろう」
 「昨日、神経を抜いてもらったけど、まだ痛いのは神経が残っているのですか」
 患者さんからよく聞かれる質問です。神経を抜いても歯に響くことがよくあります。痛みの発信源である神経がなくなったのですから、痛くなるはずがないと思うのも無理はありません。でも、そうとばかりは言えないようです。  一般的に、虫歯が進行して神経(歯髄)が侵されると歯髄炎の症状を呈してきて、冷たいものや熱いものがしみたり、かむと痛かったり、じっとしていてもズキズキ痛みます。こうなるとだいたい神経を取る治療をします。神経を取った後の歯の中の空洞を密封した後、詰めものをしたり、冠をかぶせたりしてその歯の治療がすべて終了します。
 ところが、その空洞を密封できなかったり、感染していたりすると細菌のちょうど良いすみかになるのです。それは治療上の問題もありますが、治療を途中でやめてしまったり、治療間隔をあけすぎたりすることにも大きな問題があります。
 密封できなかった空洞は細菌であふれかえり、それらは歯の外、すなわち根っこの先へと飛び出します。その細菌をやっつけるのに白血球が集まってきて戦いをした後、役目を終えるとうみに変わります。そのうみがたまってくるとはれるわけです。
 うみがたまって歯ぐきがはれるとズキズキ痛むでしょう。このように神経がなくても歯は痛むのです。この場合は歯そのものよりも周囲の組織が痛みを発していると言った方が正確です。早くうみを出さないと、今度は顔がはれてきます。
 このように神経を取って痛みがなくなったと安心して放置しておくと、さらに深刻な症状に変化しますので、必ず完治するまで通院しましょう
(県歯科医師会)

第37話「歯並び 矯正に年齢制限なし」  上へ

 最近では、歯並びをきれいにする矯正歯科治療は県民の生活にもすっかり浸透してきたように感じられます。
大勢の人たちが集まる場所に出かけますと、一人や二人は口の中に矯正装置を装着している人を見かけます。
歯並びやかみ合わせの異常に対する認識が高まっている証拠であろうと大変うれしく思っております。
しかし、矯正歯科治療に年齢制限がないのだという点に関してはあまり知られていないようです。  ある日、七十三歳になる女性が、ある矯正歯科医の診察を受けることになった時の二人の会話。  「そうですか、前歯のかみ合わせが逆になっているのが嫌だということですね。それにしても七十三歳になられてから歯並びを治療なさろうと決心されるとは、ちょっとすごいですねえ」  「実は私の亭主は若いころ仕事が一段落するとよく若い衆に洒を振る舞っていたものでした。
ところがある日、そういった仲間の一人が酔った勢いもあったのでしょうか、亭主に『あなたの奥さんのかみ合わせ、おかしいのではないか』と言ったのです。それで亭主が私の口の中をのぞき込みまして…」  「なるほど、それでだんなさんは、なんと?」
 「いえ、その時は何とも。ただ、それ以来、仲間たちを家に呼んで洒を振る舞うということがめっきり減ってしまったのです」
 「なるほど。それで?」
 「おそらく私のかみ合わせがいやだったろうと思うのです。亭主はその後四十代半ばで亡くなりました。私にもそろそろお迎えが来るころかな、と思いましてね。それで、亭主が気にしていた歯並びをきれいにして。来世で会う時に、びっくりさせようかなってね。そしてあの人に喜んでもらえたらいいなあって考えたのです」
 この後、彼は何も語ることができなかったということでした。いくつになっても少しでも若くそして美しくありたいと願う気持ちをなくしてほしくないものと思いました。この女性、現在はすっかりきれいな歯並びになられ、また、健康でおられます。
 幸せな人生づくりにお役に立てればと、私ども歯科医師は希望しております。
(県歯科医師会)

第38話「歯を残す ぎんさんには前歯5本」  上へ


 ひところ、日本中の話題を集めた、名古屋の百歳を超えた双子の姉妹、きんさん、ぎんさんがお亡くなりになり寂しい限りです。
 お二人は何にでも、やる気おう盛で、興味を持つ好奇心の塊ともいえる姉妹でした。それ故、何げないしぐさがとてもかわいらしく愛きょうのある存在でした。お二人は双子ですからよく似ているのですが、どちらかというとぎんさんの方がふっくらとしてお若く見えました。
 その訳はよく見ると歯でした。きんさんには歯は一本もなく、ぎんさんには上の前歯が五本残っていました。歯が少しでも残っていると、歯の根が植わっているあごの骨が吸収されないので、歯ぐきもやせず、ふっくらして見えるのです。
 きんさんはいつもあごを上下に動かしています。ぎんさんは時間をかけてよくかんでいます。このときのあごの上下運動は、脳の方へ血液や栄養を送り込む「ポンピング」といい、脳の血の巡りをよくするための大事な運動です。  高齢になると、だれでもだ液の分泌量は減少します。それに加えて歯を失うと、だ液の量はさらに少なくなります。
だ液が少なくなると食べ物を食道へ送り込むことも難しくなってしまいます。  また、歯がないと、魚の小骨などの異物を感知できずに、のどや口の粘膜に刺してしまったり、もちなどをのどにつまらせたりします。
あごの上下運動をよくして、十分注意してのみ込むことが必要です。きんさんもぎんさんも食べる時には不自由を感じておられたようです。
 異物を振り分ける精巧なセンサーでもある歯は、人間にとって大事な宝物です。
 やはり「8020運動」のように、八十歳で何でも苦もなく食べられる二十本の歯を残せるよう努力するのが何よりなのです。
(県歯科医師会)

第39話「乳児の虫歯 抜く時期が歯並びに影響」  上へ

 乳歯は虫歯が進行しやすく容易に歯髄(神経)まで細菌に感染してしまいます。そのために根の先の歯ぐきがはれたり、うみの出る穴が歯肉にあいて赤くただれているようなことが多いのです。このような乳歯はその下に出てくる永久歯に影響することもあるので、早めに根の治療をしたり、抜くこともあります。  抜く場合、特に注意しなければならないのは、乳歯の一番奥にある第二乳臼歯(きゅうし)です。第二乳臼歯はその後に出てくる第一大臼歯のために大切な歯なのです。この第二乳臼歯が早くなくなってしまうと支えがなくなるため、第一大臼歯が前に寄ってしまいます。  すると将来この間に生える永久歯のスペースが不十分になり、歯並びが悪くなる原因となります。ですから、この第二乳臼歯はその役割を果たし終える時期まで大切にしなければなりません。  乳歯の根の感染が進んで抜かなければならなくなった時には、この部分に生えてくる永久歯のスペース確保と第一大臼歯が前に寄ってくるのを防ぐために、装置が必要になることもあります。  乳歯は生後およそ半年から生え始め、二年ぐらいのうち生えそろいます。歯の大きさは生えたときの大きさで変わりませんが、あごの方が次第に大きくなります。それで乳歯と乳歯の間にすき間ができ、乳歯より大きい永久歯がちょうどよい具合に生えてくるのです。  ところが最近は、栄養などの関係で永久歯が適齢よりも早く生えることが多くなり、食事もあまりかまなくても食べられるものが多くなったため、あご自体も小さくなる傾向にあります。永久歯が交換されるべき乳歯からずれて生えてきた場合などは早めに乳歯を抜いて、正しい位置に出てくるようにしなければなりません。  乳歯は永久歯との自然交換のために、その役割を果たし終えるまで大切にされなければならないのです。  運悪く抜かなければならなくなった時、永久歯の正常な萌出(ほうしゅつ)のために抜く必要になった時、その判断と時期は歯科医院で十分相談することが必要です。 (県歯科医師会)

第40話「肩こり 歯の状態が原因の場合も」  上へ

 「最近、肩がこるのですが歯と関係ありますか」。時々このようなことを尋ねられることがあります。  虫歯で歯自体が痛いときは、あまり関係ないと思います。しかし歯周病のある人や、あごに慢性の骨膜炎・歯根膜炎(歯の根の周りの炎症)などを起こしている人が、たまたま疲れがたまったり、体力がなくなっていると、これらの結果として肩こりを起こすことがあります。  また体力が衰えると慢性の炎症が急性化し急に痛んでくることがあります。肩がこると歯が痛むというのは、このようなときに起こるようです。  人間の体は、健康なときはすべてがバランスよく働いています。しかし、例えば片方の歯が痛いと、これをカバーしようとして、普通と違う姿勢をとったり、首を曲げたりします。このようなときにも肩こりが起こりがちです。  また、片方の歯がないまま歯を入れずにおくと、残った側だけでかむことにより、筋肉のバランスが崩れ、これも肩こりの原因となります。  最近、特に注目されているのは、あごの関節の痛み、異常音、あごの運動障害などで生じる顎(がく)関節症による肩こりです。口は関節や筋肉に異常がなければ、スムーズに回転運動をして開いたり閉じたりできます。しかし異常が起こると左右の筋肉のバランスが崩れ、次々にそれに関連した筋肉が崩れ出し、肩こりとか、偏頭痛などの形で表れます。  もちろん、肩こりの原因は歯だけではありません。仕事や運動など姿勢の変化や筋肉の過使用によるもの、全身的要因によるもののほか、社会的、心理的因子など極めて多くの要因が複雑に絡み合って病魔をつくり上げているものと思われます。  もちろん、歯並びやかみ合わせの異常から生じる肩こりも少なくありません。いずれにせよ歯や歯ぐきの具合が悪いとき、あごの調子が変なとき、肩こりするようであれば、まず歯科医院で相談されることがよいと思います。 (県歯科医師会)

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