「ためになる歯の話」 No21 No22  No23  No24  No25  No26  No27  No28  No29  No30    No1 - 10  No11 -> No20  No21 - 30 No31 - 40 No41 - 50

1 第21話「□の中のガン」
2 第22話「神からの恵み」
3 第23話「出っ歯、すきっ歯 歯周病以外の要因も」
4 第24話「親知らず はれや痛みは要注意」
5 第25話「利きかみ 左右のバランス大事」

6 第26話「シニアコンテスト 目標は「80歳20本」」
7 第27話「乳歯が抜けない 歯並びに悪影響」
8 第28話「矯正治療 開始年齢に制限なし」
9 第29話「八重歯の悩み 歯並び彼好みに」
10 第30話「お菓子 虫歯の原因は甘味料」 -->

 第21話「□の中のガン」 

 がんは口の中にもできますが、その割合はがん全体の数%程度で、唇、歯肉、舌、 あごの骨、上あご粘膜、頬(ほお)粘膜などに発生します。  一般に年齢が高く四十〜七十歳ぐらいの男性に多いとされていますが、必ずしも そうとばかりはいえず、性別による差もないようです。  口腔(こうくう)内のがんの好発部位としては、上あごの骨と下あごの骨と舌が 多く、それぞれ20〜30%ぐらいあります。  口の中のがんは、身体の他の部位のがんより発生率が低いようですが、経過はほ とんど同じで死亡率も高いことが報告されています。  義歯の具合が悪いからといって必ずしもがんになるというわけではありませんが、 不適合な入れ歯による慢性の機械的な刺激が、がんを引き起こすともいわれていま す。虫歯などでかけてとがった歯や、合っていない冠などの慢性的な刺激も同様で す。  その他の病気(白板症等)も、時には口の中のがんの原因になることがあります。  治療法としては手術、放射線療法、化学療法などがあって、近年著しい進歩がみ られますが、何と言っても早期発見、早期治療が決め手です。  幸いなことに、口の中のがんは、胃がん、肺がん、大腸がんなどと異なり、直接 目で見られるために比較的早く発見すればほとんど治るといわれています。  しかし、がんでもないのにがんではないかと疑心暗鬼になる、がんノイローゼの 方が時々見受けられるので、そういう意味でも異常を感じたら、なるべく早く歯科 口腔外科専門医の診察を受けることが望ましいと思います。 (県歯科医師会)



第22話「肩こりと歯科」  上へ

 神が唯一、二度のチャンスを与えてくれたもの、それは乳歯と永久歯です。野生 動物は歯を失うと生きてはいけません。しかし、人間には二度のチャンスとともに、 知恵と器用な手まで与えてくれたのです。それは二度のチャンスを失っても、さら に生き延びる術(すべ)をわれわれに教え、人間の寿命を延ばしてきたのです。  乳歯と永久歯は、人間が生まれてから永久歯の生えそろうまでの約十二年間、調 和のある変化を与えてくれます。このゆっくりとした変化は、歯が生きていくため に最も大切な器官であると訴えているのです。乳歯は決して一時的な「間に合わせ」 ではありません。食べることはもちろん、赤ちゃん言葉から話をする機能を身につ け美しい永久歯への道しるべとなります。  人間以外のほ乳動物は、口元(あご)が前方へ突出しています。しかし、人間は 二足歩行を可能にするため、頭の大きさに比べ、口元が小さくなりました。人間と しての顔かたちは、調和のとれた歯並びをつくり、結果として美しさを維持してい るのです。歯は口を、口は顔を、そして顔はその人をつくるのです。乳歯と永久歯 という二度のチャンス、知恵と器用な手を私たちは十分に生かしているのでしょう か。次のようなフランスのシャンソンの歌詞があります。  人生は歯のようなもの/充実した日々を過ごせるのを人はあたりまえと思ってい る/毎日なんでもかめるのを人はあたりまえと思っている/けれど、あるとき突然、 歯もこわれはじめる/人生も同じ、むずかしいことに出くわす/このときになって その大切さに気づく/そして、あわてて救おうとこころみる/もとどおりにするこ とのむずかしさに、ためいきをつく/抜かずにすますには苦労の連続/まるで人生 のように  備えあれば憂いなし!予防と定期健診を第一に。 (県歯科医師会)


第23話「出っ歯、すきっ歯 歯周病以外の要因も」   上へ

23.出っ歯、すきっ歯 歯周病以外の要因も  「最近、前歯が飛び出してきて口を閉じるのも大変なんですよ、年ですから」と訴えるその患者さんはまだ四十代の女性でした。  いつも手で口をおおい、無理に隠そうとすると鼻の下が伸びて顔つきが変わってみえます。  診察してみますと歯の根元には黒く見える歯石がびっしりと付著し、歯茎は炎症を起こして赤く腫(は)れています。 前歯は出っぱっているだけでなくすき間もできています。前歯にさわってみるとかなり動いています。  これは、もちろん歯周病=歯槽膿漏(のうろう)=が原因ですがそれだけではありません。 奥歯がほとんどなく、なくなったところには歯が入っていません。「抜いた後、そのままにしていた」とのことです。 奥歯でかむことができないので、前歯にかなりの負担がきていたようです。これも出っ歯になった原因だと思われます。  この患者さんのように、歯が出てきたと悩んでいる方はかなり多いようです。 歯周病か、奥歯がなくなったのに放置しているか、あるいはその両方が原因です。年のせいではありません。  この患者さんには歯周病の治療と、奥歯に歯を入れる処置をすることになりました。 出っ歯とすきっ歯になった前歯を元に戻す治療にはいくつかの方法がありますので、相談しながら処置を決めていく予定です。 歯が出っぱってきたり、すき間ができてきたら要注意です。  ところで、皆さんには以下のような歯周病の症状はありませんか。  ▽歯磨きをすると血が出る▽ 口臭がする▽歯と歯の間に食べ物がよく挟まる ▽歯ぐきが赤くはれている▽歯ぐきに痛みがある ▽歯が長くなったように感じる▽冷たいものがしみる ▽歯がぐらぐらして固いものが食べられない ▽歯が出っばってきたり、すき間が広がってきている ▽歯ぐきがむずがゆい▽歯こうや歯石がついている ▽歯ぐきから血やうみが出る  心当たりのある方はぜひ、歯科医師のチェックを受けてみてください。 (県歯科医師会)


第24話「親知らず はれや痛みは要注意」   上へ


24.親知らず はれや痛みは要注意  親知らずというとあまり良いイメージがない人が多いことでしょう。はれたり痛んだりで随分苦しめられたのではないでしょうか。  では、なぜはれたり痛んだりしやすいのでしょうか。それは親知らずの生え方と生える場所にあるようです。  その名の通り生えてくるころにはすでに親はこの世にいない、ということからついた名前のようですが、 現代では早い人で二十歳前後に生えてきます。遅い人だと六十歳すぎという例もあります。 外国では知恵がつくころに生えてくることから「知恵の歯」と呼ばれています。 正式には「第三大臼(きゅう)歯」と言いますが、六歳臼歯が第一臼歯ですので、親知らずはその二本後ろにある歯のことです。  「親知らずが生えてきたのですが、抜いた方が良いでしょうか」とよく質問されます。 確かに生え始めや生えてからでも悪さをする歯ですが、必ずしも抜歯しなければいけないというわけではありません。 生えてくる場所にゆとりがあり、生え方も真っすぐで磨きやすく、上下でしっかりかみ合っていれば問題ないでしょう。  しかし、現代人のあごは小さくなる傾向があり、親知らずの生える場所が狭いので斜めや真横になるケースが多いようです。 当然、磨きにくいのでいつも不潔な状態にあり、細菌感染を起こしやすく、その結果はれたり痛みが出るのです。  このような症状がたびたび起こるようなら、抜歯した方が良いかもしれません。早めに歯医者さんで診てもらいましょう。 (県歯科医師会)


第25話「利きかみ 左右のバランス大事」  上へ

25.利きかみ 左右のバランス大事
 利き手、利き腕、利き足があるように「利きかみ」があるのを知っていますか。人間は右利きの人と左利きの人に分けられますが「利きかみ」はそれと関係なく存在するようです。  すなわち、右利きの人が必ずしも右で物をかむというわけではなく、左利きの人が左でかむというわけではないということです。  何らかの原因で右側の歯を失った場合、たとえ右利きの人でも右で物をかむのは不可能なのです。もちろん、左利きの人が左側に歯がなければ同じことです。  いつも片側ばかりで物を食べていると特定の歯にだけ負担がかかり、歯のクッションの役目をしている「歯根膜」という繊維が擦り切れてしまい「歯根膜炎」の症状を呈してきます。  すると歯が浮いたようになって、物がかみづらくなります。さらに症状が進むと歯はグラグラ動いてきて、抜け落ちてしまうのです。  悪くなるのは歯だけではありません。片側ばかりで物をかみ続けるとあごの関節が次第にずれてしまい、口を開けるとガクッと音がしたり、あくびをするとあごが痛くなったりします。「顎(がく)関節症」の前兆です。  筋肉も特定の部分しか使いませんから反対側とのバランスが崩れて、いつの間にか顔の形が以前と変わってしまい、気が付いたときには左右対称でなくなっているものです。使わなくなった万の顔面は衰えてしまい、つやがなくなりしわが増えるかもしれません。女性にとっては重大問題ですね。  また、変なかみ方をしているとあごが疲れて肩がこったりします。肩こりは仕事の疲れが原因だと誤解していませんか。  このように、片側で物をかみ続けると良くないことばかりです。ですから、歯を失ったら必ず入れ歯やブリッジで歯を補いましょう。 (県歯科医師会)

第26話「シニアコンテスト 目標は{80歳20本}」  上へ

26.シニアコンテスト 目標は「80歳20本」
 「え、老人の歯のコンテストがあるんですか、いまさら恥ずかしい」。 こう言われる方が多いのですが、六十歳を過ぎて健康な歯と歯ぐきを維持している方はめったにいらっしゃいません。 歯科医院で「よい歯のシニアコンテストに出場してみては」と言われること自体すばらしいことです。 もちろん、自薦の方も大歓迎です。  日本歯科医師会は、八十歳で二十本の歯を残そうという「8020運動」を展開しています。 県歯科医師会でもこの目的のために、毎年よい歯のシニアコンテストを開催し歯に自信のある六十歳以上の方のコンテスト 参加を募集しているのです。  八十歳以上で二十本以上の健康な歯のある方は、文句なしに「8020賞」受賞となります。 過去に治療済みの歯があっても大丈夫です。 六十歳から六十四歳までは二十四本以上、六十五歳から六十九歳までは二十三本以上、七十歳から七十四歳までは二十二本以上、 七十五歳から七十九歳までは二十一本以上の残存歯のある方が、県内、各歯科医院での一次審査対象となります。  一次審査を通過した方は、各地区歯科医師会の二次審査へと進むことができます。 二次審査で上位入賞の方はさらに県大会に出場することができますので、ぜひ挑戦していただきたいと思います。  ところで、成人で歯を失う最大の原因が歯周病です。 統計でも三十歳代から急カーブで歯の本数が減っていくのが分かっています。 生活習慣病である歯周病は、知らないうちに進行し、症状が進むまでなかなか自覚しにくい病気です。 歯周病を治す決め手は、早期発見、早期治療です。 二十五歳以上で80%の人が歯周病といわれる国民病に対して、今、歯科医師会は立ち上がっています。 (県歯科医師会)

第27話「乳歯が抜けない 歯並びに悪影響」  上へ

 「乳歯が抜ける前に永久歯が生えてきたのですが、どうしたらよいでしょうか、歯並びが悪くならないでしょうか」。歯の生え替わりの時期のお子さんを持つ両親には心配なことの一つです。  診察すると、前歯の乳歯の後ろから、永久歯が生え始めています。乳歯は触ってもまだしっかりしていて、ひとりでに抜けそうにもありません。  取りあえず乳歯を抜歯することにしました。しかし隣の乳歯との間はぴったりしていて、大きな永久歯が乳歯を抜いたスペースにおさまりそうにありません。  一般に永久歯は乳歯の根の近くで成長し、時期がくると乳歯の根を少しずつ溶かしながら、乳歯の根に導かれるようにして口の中に出てきます。そして永久歯が口の中に頗を出す時には乳歯は自然に抜け落ちるのです。  でも、このように、乳歯がすき間なく生えている場合、乳歯よりずっと大きい永久歯の生える場所がありません。そのために乳歯の後ろから永久歯がやむなく生えてくるのです。当然、乳歯の根も永久歯に吸収されて溶けないので、しっかりしたままなのです。  あごの骨もお子さんの成長とともに少しずつ大きくなるのですが、多くの場合この永久歯の生えるスペース確保には間に合いません。通常は乳歯を抜いた後に永久歯が自然に動いてくるのですが、スペースが足りないと、そのまま後ろ側に生えてしまったり、斜めに生えたり、永久歯同士が重なって生えたりします。少しでも心配なら歯科医院で相談してください。 (県歯科医師会)

第28話「矯正治療 開始年齢に制限なし」  上へ


 最近では「矯正歯科」という言葉はポピュラーになってきていますが、二十数年前までは、まだまだ珍しい言葉だったようです。患者さんたちからよく「先生、矯正ってなんなの?」と尋ねられたものでした。  最近の歯科検診では以前のように、虫歯のチェックをするだけではなく、歯並びについても詳しく調べることになってきているのです。  歯並びが悪いとかみ合わせも悪くなりやすいものです。全身の健康に対して悪影響を及ぼすことも決して少なくありません。  最近まで日本では「八重歯の子はめんこい」とか「あべぐちの女の子は色っぽい」とか言われていたようです。現在では歯並びに対する日本人の考え方も、単にきれいな歯並びのために、といったところから健康のために、という具合に変化してきていることが感じられるようになってきました。  日ごろ、患者さん方から受ける最も多い質問について、ごく簡単にお答えしておきたいと思います。  第一に何歳ぐらいで歯科医師に相談したらいいのでしょうか、という質問。  これに対しては、異常に気がついたらすぐに歯科医院を訪れ、適切なアドバイスを受けていただきたいものと考えます。矯正歯科治療の開始時期は、症状によって大きく異なるものです。  第二に、何歳ぐらいまで矯正治療は可能なのでしょうかという質問です。  原則として年齢制限はありません。筆者が手掛けた矯正歯科治療の最年長者は五十六歳ですが、知り合いの矯正歯科医は七十二歳の女性の矯正歯科治療をしておりました。  ところで欧米の先進国の国民は概して歯並びにとても気を使います。  先日、アメリカの若い矯正歯科医が「日本人は八重歯はチャームポイントと考えているのですね。とても信じられません。アメリカでは八重歯はドラキュラの歯と呼ばれ、忌み嫌われていますよ」と語ってくれた一言は屈辱的で忘れられません。所、変われば…ですね。 (県歯科医師会)

第29話「八重歯の悩み 歯並び彼好みに」  上へ

ある日のこと、二十四歳になる、どちらかといえば美しい、すてきな女性が来院し「八重歯が気になるので歯並びをきれいにしてほしい」と言うのです。  八重歯がなくなれば、その女性の笑顔はもっともっとすてきになる、と直感し治療することになりました。美しい歯並びになりたい、という彼女の意欲はひしひしと伝わってきます。  六カ月ほど彼女の口の中に矯正装置を装着しました。
この装置をはずして、八重歯のなくなった自分白身の美しい歯並びを鏡の中に確認した時の彼女の満足しきった表情はちょっと忘れがたいものでありました。こういう瞬間こそがわれわれ歯科医師にとって至福の時であり、生きがいなのです。  ところが、わずか一カ月後、彼女が落ち込んだ表情で当院を訪れたのです。
そのさえない顔色をけげんに思い、一体どうしたのだ、と尋ねたのですが事情はこうでした。  実はボーイフレンドが、長期出張から戻って久しぶりに会った時、「どうしたの、その歯並び。僕は君の、あのかわいらしい八重歯が大好きだったのに…」と言われ、矯正歯科治療を受けたことを後悔していると言うのです。  その後、彼女といろいろ相談し善後策を探りました。
歯並びを全く元通りに戻すこともできるのですよ、ということについても詳しく説明しました。その結果、彼女は口の中にもう一度矯正装置を装着して歯並びを元の八重歯のある歯並びに戻すことを選択し、帰って行きました。  しかし、その後しばらくして来院した披女は不思議なほど幸せそうにほほ笑んでいました。
あの落胆した雰囲気はみじんもなくなっていたのです。結局、元の八重歯に戻すことはせず、披女はこう言いました。  「先生、彼ったらネ、八重歯のある君もすてきだったけど、きれいな歯並びの君のほうが、もっともっとすてきだよって、言ってくれたの」…と。はい、本当にごちそうさまでした。 (県歯科医師会)

第30話「お菓子 虫歯の原因は甘味料」  上へ

甘い物は食べたいけれど、虫歯になるのはいやだなあとお考えの方は多いと思います。また、甘い物が好きな子供たちの虫歯予防に頭を悩ませているお母さんもいらっしゃるのではないでしょうか。  そこで、甘いお菓子と虫歯について、少しお話しいたします。  お菓子の主な甘味料である砂糖、ブドウ糖、果糖が、虫歯の原因だということは、はっきりしています。それは砂糖が・細菌の塊である歯垢(こう)を作りやすい・歯を溶かす酸を、細菌に作らせる力が強い・口の中に食べかすといっしょに残りやすい−という性質を持っているからです。よって、この三つの性質を持たない物が、虫歯になりにくいお菓子と言えます。  では、どんなものがあるでしょう。具体的には、甘くなく、口の中に残りにくい物として、ポテトチップ、せんべい、小魚、ナッツ類。甘くても砂糖を使用せず、歯垢や酸を作りにくい甘味料、たとえばキシリトールやアスパルテームなどを用いたもので「シュガーレス」「ノンシュガー」と表示されたガム、キャンデーなどです。  虫歯のことを気にせず楽しめるお菓子として、日本トゥースフレンドリー協会が認定した「歯に信頼」のかさマークが付けられているものもあります。  砂糖が虫歯を作りやすいことは分かっていても、毎日の食生活の中で、ケーキやチョコレート、かりんとうにあん入り大福もちと、砂糖を使用した魅力的なお菓子は、私たちを楽しませてくれます。  甘いお菓子を全く食べないで生活することは、大変難しく、寂しいことですから、だらだらと食べ続けたり、就寝前に甘さが口に残りやすい飲み物や、キャンデー、クッキーなどを口にすることはなるべく控えて、甘いお菓子と楽しくお付き合いしていきたいものですね。 (県歯科医師会)

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